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わが家の庭は100%手作り(19)

【このテーマの説明】 PUTON 2008/07/31

庭の楽しみの基本は、生活にいちばん身近な自然のなかでのくつろぎにあります。蛍光灯が自然の光となり、エアコンが木々を揺らす風となり、テレビの映像が青空と緑の景色になる。屋内を一歩外に踏み出すだけで、そこには屋内とはまるでちがった楽しみがひろがります。

しかし、それを実現するには、庭を生活の一部にするための工夫が必要です。直射日光が照りつけるだけの庭や、草の生い茂った庭ではくつろぎは得られません。でも、意外と多くの人が庭にあまり関心をはらわないまま、「庭を生活の一部にするのは無理」と思っているのではないでしょうか。実は、私もその一人でした。

私が家を建てたのは、今から10年前の1998年でした。そのときは庭への興味も、作るだけの余裕もなく、むき出しの赤土のまま放置して数年を過ごしました。

しかし、梅雨になると庭に水溜まりができ、夏には草ぼうぼの荒れ庭になりました。これではいけないと、何年か後に木陰をができるといいなと、とりあえず一本のケヤキを植えました。

この時点ではまだ、明確な考えやプランがあったわけではありません。しかし、いまから思えば、この一本の木が現在のクッキンガーデンの楽しみのはじまりだったのです。

こんな経験からここでは、これから庭を何とかしようと思っている方のために、庭にも園芸にも、デザインにもまったく素人の私が、100%手作りで挑戦したわが家の庭について、そのポイントお伝えしたいと思います。

わが家の庭はいまも現在進行形です。今後も、見直しや工夫を続けて行きたいと思っています。私のような素人の方も、そして専門家の方のご意見も大歓迎です。ぜひ、コメントをお寄せください。

冒頭の写真は、このテーマの扉として選びました。左の写真がとりあえず完成した時点の庭です。右は、そのもととなったプラン図です。両者の間に要した時間は、ちょうど一年間でした。

PUTON 2009/12/07

庭のテーブルで過ごす時間が増え季節が夏に近づくと、もうひとつの大切なことに気づきました。木陰の必要性です。幸い我が家の庭にはケヤキの木があります。ケヤキといえば大木を想像するかもしれませんが、テーブルを置いた2008年の時点ではまだ二階の軒先に届かないほどでしたから、十分な木陰とはいえませんでした。直射日光の降り注ぐデッキの上を、木陰をもとめて移動するのではくつろぎは得られません。

そこで、インターネットで日除けを探してみました。しかし、なかなかピッタリのものがありません。たいていは自立型のパラソル状のもので、デッキに置くにはかさばります。壁に取付ける張り出し式のものも考えましたが、デッキの出幅が4mくらいあるので無理があります。唯一、三角形のタープが使えそうでしたが、取付け取り外しが面倒そうです。

そうした試行錯誤のなかでイメージしたのは、海辺のホテルで見かけるような、可動式の日除けです。ロープの端を巻き上げることで布がスルスルと延びてくる開閉式のもの。これを建物の外壁から敷地境界に張ることができれば理想的です。問題は、そういう日除けが手に入りそうにないことでした。しかしこれも、仕掛けは簡単だから作ればいいやと、手作りすることを決めました。写真の絵はその原理です。

図中の青が固定ロープ、赤が可動のロープと日除けです。Aを下に引くと日除けが壁側に広がり、Bを引くと閉じます。閉じるにはロープを引くだけでなく、日除け自体を手で動かす必要がありますが、お手製と思えば苦になりません。シンプル・イズ・ザ・ベストという言い訳もあります(笑)。外壁への固定は市販の端部金具を使いました。Aのロープも下側付近にも同様の金具を取付け軽く結束します。我が家ではこの日除けを二連で使ったのでAのロープが4本あります。これがばらばらだと煩雑なので、4本を左の端部金具にまとめています。

日除け布はホームセンターで手に入る、ごく普通の西日除けのシェードです。これを適当な間隔でタックを取り、簡単に縫い合わせて両端に直径20mm程度のハトメを取付けロープを通します。タックの部分を縫う際に園芸用のプラスチックの骨(キャベツなんかの覆いをするとき使うもの)を入れると布に張りができてカッコよく仕上がります。これで、「海辺のホテルで見かけるような可動式の、マイ日除け」が完成です(^^)/。

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PUTON 2008/10/18

さて、こうしてデッキの完成後ずっと座卓で過ごしてきたわけですが、今年(2008年)の春になって状況が一変しました。

4月の末に、試作品のクッキンガーデンのテーブルをデッキに持ち込みました。最初、少し違和感がありました。視線が高くなんだか照れくさい感じ。座卓になじんだ反動ですね。しかし、夕方になってテーブルにビールを置いた頃には、もうすっかり違和感は消えていました(笑)。

4月末といえばゴールデンウイークの直前、一年間でもっとも外気が心地いい時期です。蚊に煩わされることもありません。そんなベストシー ズンに手塩にかけたガーデンテーブルを置いたことは幸運でした。最初にいちばんいい時を体験したのですから。

数日が経過し連休に入ったとき、はっきりと「生活が変わった!」と思いました。気がつくと、毎朝起きるとすぐに、豆乳の入ったグラスと新聞を手にデッキに出ています。あたらしい動線の誕生です。これは座卓のときにはなかったことです。なぜなら、座卓はパーティーの時に納戸から運び出すものだったからです。つまり、日常的にデッキにないわけですから、ここに動線が作れるわけがありません。

実は、クッキンガーデンの開発当初、収納式を考えました。しかし、機構が複雑になりシンプルなデザインが難しくなる上に、コストもかさみます。できることなら収納式と思いながらも、現実的な理由で諦めたようなところがあったのが実状です。

しかし、実際にクッキンガーデンを置いてみてわかったのは、「できれば収納式にしたい」ではなく、「できれば収納しない方がいい」だったのです。これは本当に意外な発見でした。

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PUTON 2008/10/04

Shimizuさん、そうなんです。何気ない日常の習慣もその成立をたどると、実に奥深いものがあります。縁側もそのひとつかもしれませんね。

わたしの場合、デッキに常設のテーブルを置いたことにより座卓を利用することはなくなりましたが、庭全体で見ると、日本的な生活様式が残っているところもあります。濡れ縁です。

庭を考えた当初から濡れ縁への憧れのような気持ちがあり、建物の南側にある二カ所の掃き出し窓の片側の方に濡れ縁を設けました。こちらは地面から約40センチのところにデッキ材があり、履物を履いて腰掛けるとちょうどいい高さになっています。その意味で濡れ縁は椅子的です。

しかし、この濡れ縁はメインデッキと段差ひとつで繋がっているため、椅子的であると同時に、床のようでもあるのです。とくに、メインデッキに常設のテーブルを置いてからは、デッキ面は床としての性格が強くなり、濡れ縁も通路的な位置づけになってしまいちょっと残念でした。

そこで、メインデッキでは使わなくなったい草製のクッションを濡れ縁で使ってみることにしました。このマッチングは実に見事でした。これにより、濡れ縁の性格が再び、通路から椅子へと変わりました。実際に利用してみると、ちょっとお隣さんと茶話を交わすようなときなど、とても気軽に利用できて重宝です。

夫婦でお茶を飲んでも、どちらかといえば容易に対決姿勢になれるテーブルとは自ずと気分も異なるような気が(笑)。対面することなく、同じように庭や月や風景を見遣りながらポツリポツリと言葉を交わすうちに、ふと遠い向こうに焦点が結ばれたような想いにかられたりもします。縁側は、そんな情緒をかきたてる、実によくできた仕掛けだなあと思います。

濡れ縁でのお茶の楽しみ、これもまた日本文化の智慧なのかもしれませんね。

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shimizu 2008/10/03

「座ることが比較的多い日本人は低い視点に慣れているせいか、日本間や縁側に座ると、なんとなく落ち着くようなところがあります。」

う〜ん。とても勉強になります。
普段意識して、考えた事がなかったので「なるほど」と思いました。

日本間や縁側に座るここちよさは、日本人ならではのもの。
そうゆう文化も大切にしたいですね。


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PUTON 2008/09/28

たとえトゲのないデッキ材でも、外部の汚れを室内に持ち込むまいとすると、どうしても履物が必要というのがわが家の判断です。一方で、履物を履くと不便なこともあります。デッキで座卓を使う場合です。

座卓だとどうしても、座布団かクッションが必要になります。しかし、クッションがあるからといって、サンダルを履いて座るわけにもいきません。さらに、クッションといっても、5個や10個となると相当な物量で保管に困ります。このように、デッキ、座卓、サンダル、クッションという組合わせはどうも相性が悪いのです。

そういう不便を感じながらも、今年の春まで座卓で通してきました。座る生活そのものは、決して悪いものではありません。座ることが比較的多い日本人は低い視点に慣れているせいか、日本間や縁側に座ると、なんとなく落ち着くようなところがあります。映画なんかを見ていてもそうですが、邦画は低い位置からの視線、洋画には高い位置からの視線が好んで使われているような気がします。こういう文化レベルの心地よさは根が深く、このことが不便ながらにもずっとデッキで座卓を利用してきた理由ではないかと思います。

写真左はデッキで座卓を使っていたことのひとこまです。このころは、料理はキッチンで調理したものをお皿に装って運んでいました。携帯のデザインが懐かしい(^^)。

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PUTON 2008/09/22

ha*naさん、わたしの経験範囲でしたらいつでもご相談下さい。素人なので答えが当てにならないという問題はありますが(^^;)。

もともと、この手作りの庭のテーマでは、どちらかといえば設計や工事といった建築的なことを中心に扱おうと思っていましたが、すでに、かなり暴走ぎみ(笑)。それだけ庭は世界が広いということでしょうね。

庭の植物や昆虫など生き物の生態、雨風太陽などの自然現象、そして料理やパーティーなどのしつらえなど。庭って、ほんとうに関係範囲が広いですね。料理なんかは、本来あまり庭に関係なさそうなんですが、からめてみると絶好のテーマ。

庭作りに限らず、春はお花見、秋はお月見ダンゴなど、柔軟な発想でそれぞれのマイガーデンを楽しみましょう!

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ha*na 2008/09/21

私も素足が気持ちよくてすき♪
でもやはり汚れるのは気になるので、
水を使って綺麗に掃除した大掃除の時だけです。
(年に何回あるかしら!?)

やはりそれ以外はただのサンダルです。
PUTONさんのこだわりはさまざまな分野にわたってますね。

お手製のお庭の、計画と施工のお話、
興味深く読ませていただきました。
いつか自分がつくることがあったら、
ぜひ相談させてください。

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PUTON 2008/09/20

デッキの板表面のササクレ(トゲ)の問題は、庭のライフスタイルに影響します。しかし、履物に関係するのはトゲだけではありません。

デッキは外部空間にありますから、砂ぼこりや樹液の落下、さらには鳥のフンや雨上がりの水などにも常にさらされます。このような場所で調理したり庭ゴハンも楽しむわけで すから、木の種類が何であろうと庭以上にデッキの清掃は必要です。

それでも、多くの奥様方は、デッキから室内に入る場合、足の裏に砂やホコリが付いたりすることにたいへん敏感ではないかと思います。わたしの妻も例外ではありません。「綺麗に掃除したフローリーングの床に砂の付いた足で上がるなんて」とよく叱られたものです(苦笑)。

そんなこともあってわたしたちは、室内側からデッキへ出るときはサンダル、屋外(道路)からデッキに入るときは靴と決めました。

ここで意外に困ったのがサンダルでした。デッキに放置しておけるサンダルがことのほか少ないのです。サンダル入れを作ってもいいのですが、気軽にデッキに出ようとすると、どうしても煩わしくなります。

いままで、このサンダルについては何種類も試してみましたが、現状でのベストはアスクルのEVA(エチレン・ビニル・アセテート)製のサンダルです。デッキに置きっ放しでも水濡れや紫外線に強く、一足買いでも580円とお得です。足へのなじみもよく、犬の散歩で斜面を歩いた程度では脱げないほどのスグレモノです。このサンダルのおかげで、デッキの利用がいっそう快適になりました。

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PUTON 2008/09/18

ウッドデッキを計画するとき最初に思い浮かんだのは、木の種類と入手経路でした。いかにすばらしい木でも簡単に手に入らなければこまります。幸い、2004年当時すでにインターネットは実用域に達していました。そんななかで出会ったのが、山梨県にある木工ランドでした。

このお店は、当時からかなり熱心に手作りのウッドデッキに必要なノウハウを 公開し、材料も豊富に取りそろえていました。そのころ中心的に扱われていたのがセランガンバツとWRC(ウエスタンレッドシダー)でした。前者の方が高価でしたが耐腐食性にまさるように思え、木部は基本的にセランガンバツで構成することにしました。

その後、ウリン、イペなどもインターネット上で見かけるようになり、材料の特徴や性質を調べてみたところ、腐食、割れ、反りなど総合的にセランガンバツが優れているとの見通しが得られました。

しかし、欠点もあります。板の表面がササクレ立ち、素足で歩くと危険だという指摘があったのです。写真左は現在のデッキにできたササクレの例です。こんなササクレに素足がかかったら、ちょっとした災難ですね。その人は、もう二度とお庭には遊びにきてくれないかもしれません(>_<)。もちろん、これほどのササクレは例外で、その他は4年を経過したいまでも写真右の状態を保っています。

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PUTON 2008/08/31

話しが前後しますが、すべての石をディスクで切ったわけではありません。みかげに手こずる前に、蛇口を設けるための立ち壁部分と、菜園とテラスの見切りに石を使いました。厚さ3cmのストーンブリックを平積みしただけのものです。おそらく、トルコ産のライムストーンではなかったかと思います。

レンガをジグザグに平積みする場合、端を直線にそろえるにはレンガを半分に切らなくてはなりません。このときはまだディスクがありませんでしたから、タガネと石でも切れるという鋸を利用しました。しかし、この鋸は切れ味がいいとはいえず、レンガの断面の四隅に切り込みを入れたあとタガネで割りました。斜めに割れるなどの失敗確率は、20%くらいだったでしょうか(笑)。

上段左の写真は蛇口まわりです。高さが1.2m近くありますが鉄筋を入れることができないので、建物の外壁に接する部分にモルタルを入れて補強しました。

上段右の写真は壁の上面です。鋸目の入っていない側を露出面にすると、自然の風合いが出るのですが、積んだ後で鋸目側を露出面にしてしまうという失敗もありました。手作りの庭には、何かと失敗がつきものです(^^;)。

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PUTON 2008/08/16

サスペンションを痛めながら運んだ石をどうするか? ま、取り合えず地面に並べてみます。「遊び」編で思い描いたように配置して二階から眺める。これはなかなか楽しい。色鉛筆のスケッチの実物が眼下に展開するわけですから。

配置が決まったら地面を掘り、小石なんかを叩き込んだ上に接着剤のモルタルを流し、ミカゲ石を敷いていきます。感覚的には、石盤に小石で凸凹を付けた石の根を地面に食い込ませて固定するような作業とでもいえばいいのかな。

石を空間的に配置する場合、こうして石を敷いていけば済みますが、問題は石が際にくるときや、複数の石で面を構成する場合の合わせです。何が問題かというと、端が合わなくなるのです。何しろ基本寸法は30センチですから、合わせる相手に突起があるとこまります。

私の庭の場合、この問題に悩まされたのが階段です。階段の部分は、デッキ、濡れ縁、コンクリートなどの要素が組み合わさっていて、30センチで割り切れないのです。

写真は現在の階段ですが、一段目の右端と三段目の左端が基本寸法と異なります。とくに、後者の石の端には雨樋があります。結果からいえば、写真のように石を切ればいいのですが、当時は自分で石を切るという発想がなく、クルマに石を積んで石材屋さんに行く予定でした。

そんなある日、先駆者に電話をしたことで状況が一変。

「石を切るのに困っていて」
「へ〜、石? 冷蔵庫くらいあるとたいへんかなあ・・・」
「れ、冷蔵庫って、6センチほどのミカゲ」
「そんなん、ディスクで切れる」

とのご託宣。おまけに、「貸したげるわ」。30分後に扁平のレガシィの助手席から現れたのは、ホームセンターで見かけた普通の工具。「え、これで?」と思いましたね。しかし、いや〜、立派に切れますね。すばらしい。石材屋に駆け込もうとした難易度はなんだったのか(^^;)。あのまま石材屋さんを訪ねていったら、どうなっていたんでしょうね(笑)。

右下の写真は、石段の蹴込みとか蹴下げとかいわれる部分です。バラス側はうまくできたのですが、石段の側は、いつのまにか蹴込みがなくなっています。素人らしい計算間違いです(笑)。

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PUTON 2008/08/15

前回の「石で遊ぶ」というのは、コンクリートでは表現しにくい点や斜めの線を石で表す、いわば描画の楽しさでした。

しかし、素人が石など扱うものではありません。楽しさどころかとにかく重い。重すぎる。何で石って重いんだろうと、バカな自問をしてみても気がまぎれるのは一瞬だけ(笑)。

私の庭で主に使ったのはホームセンターでいちばんよく目にする30センチ角のミカゲ石です。あらためて数えてみると、これを37枚使っています。倍寸の30センチ60センチのものは13枚。合計重量にすると、1トン弱ありますね(^^;)。

これを排気量1,241ccのクルマで運ぶのはタイヘンでした。イタリアは大理石の産地ですが、だからといってイタリア車が石を運ぶのに強いわけではありません(笑)。ミカゲを4枚も積むと、リアサスペンションがグンと下がる。いやでしたね〜。FFなんです。

でも、こういうときのために、ヘッドライトの光軸が1度刻みで簡単に変更できるあたり、イタリアでは荷物をいっぱい積んで旅行に行くのが普通なんだろうなあと思ったりしたものです。

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PUTON 2008/08/10

コンクリートの格子テラスの外観は、シンプルといえば確かにそうですが、ちょっと面白みに欠けます。構成要素としては直線だけなので、これに点や斜線が入ると面白そうです。そこで、格子の発想が邦画にあったので、ついでに日本庭園や神社の写真などを見てみると、思った以上に細長い踏石と小石を敷き詰めたデザインが多いのに驚きました。

それと同時に、飛び石のなかにも、正方形のものを斜めに配置したものも多く見られます。「これって、そのまま使えるじゃない」というのが正直な印象でした。こうなると話しは簡単で、コンクリートとバラスの格子、正方形を単位とする飛び石、45度の配列、これを組み合わせて全体をレイアウトすれば、これもまた何とかなりそうです。だいたいいつも、「なんとかなる」のです(笑)。

近くのホームセンターで調べると、御影石が山積みになっています。基本寸法は30センチ角で、この二枚分にあたる30センチ60センチのものもあります。好都合なことに、格子の単位は幅10センチですから、30センチの御影石は整数倍です。

暗渠を覆う格子のテラスが全体の1/3、残りの半々がそれぞれデッキと植栽エリアです。このままではどうしても、格子テラスから直線的にデッキに向かう動線が強くなりそうでした。直線の格子に視覚が誘導されそうに思えたからです。そこで、格子の中央を斜め45度に飛び石で切り、その先がデッキ脇の地面につながるようにしました。

これで、リビングからデッキに出る室内からの動線と、テラスからデッキを通らずに物置に行ける庭中心の動線と、ふたつの小径ができたのではないかと思います。実際のところ、家庭菜園や草取りの作業をする場合、デッキを迂回できる動線があった方が好都合です。

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PUTON 2008/08/09

え、なんで甲殻類? はじめてのコンクリートは実にオドロキの練り物でした。何しろコンクリートなど扱ったことがありません。セメント袋は買ってみたものの、実感がわかないのです。

そんななか、最初に取り組んだのは、菜園側に積み上げた土が溢れないようにするための擁壁づくりです。といっても、既設の境界ブロックにブロックを二段継ぎ足すだけです。そのときモルタルが余り、肥料袋に廃棄しました。翌日その袋詰めのモルタルを見てビックリ。当然のことながらカチンコチンに固まっています。そのとき、なぜか興味がわいてビニール袋をはがしてみると、なんと膨らみや皺が見事に再現された、袋のオブジェができているではありませんか。

「う〜ん、入れ物次第でコンクリートはどんな形にでもなる! 」 その瞬間、冗談抜きに、ビニール遊具を買いに行こうと思いました。買いませんでしたが(^^;)。何事もそうですが、物事が腑に落ちた瞬間というのはほんとうにすばらしい。アルキメデスの「ユーレカ!!」でなくったって(笑)。

それ以来、地面に格子を作るのは、実は格子ではなく枠を作ることだ、と思うようになりました。おそらくビニール袋のオブジェの経験がなかったら、下の写真のような枠を作る根気は続かなかったかもしれません。

写真の木枠の幅は10センチ間隔で、木枠の縦横に鉄筋が通してあります。つまり、外観は格子ですが、構造的には網状です。この網が地面を掘り下げた粘土層に被さるわけです。その状態で枠にコンクリート(正確には砂とセメントのモルタルです)を流し込めば、暗渠を覆うコンクリートの格子網ができあがるとうわけです。

コンクリートが固まったら木枠を取り除き、隙間にバラスを詰めれば、目的とするコンクリートとバラスのテラス(?)が出来上がりです。バラスのおかげで排水は抜群な上に、鉄筋のおかげで4年近くを経過したいまでも、格子にひび割れは入っていません。

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PUTON 2008/08/09

庭作りを思いつく前から除草のために鍬を持っていました。はじめはその鍬で庭を掘り下げはじめたのですが、除草用の引き鍬のため、硬い地面を掘るのは大変でした。その様子を見ていた次男が、初任給のお祝いに金象印の鍬を新調してくれました。ちょっと小ぶりですが金属部分が厚く頑丈な打ち鍬です。赤地に金の象をあしらったラベルがまぶしい(^^)。

その後、地面を掘る作業に何日、いや何ヶ月を要したか忘れましたが、体感的には全行程一年間のうち、半分は穴を掘っていたのではないかと思うほどです。はじめのころは、手は豆だらけになり筋肉痛も残り、作業は確かに大変でした。それでも、作業の跡が成果として見えはじめると、なんともいえない充実感、快感におそわれますね。掘った地面を見やりつつ汗を拭き、しみじみと農耕民族の血を引いているなあと思ったり(笑)。そして、風呂上がりの抜群に美味しいビール。

庭を掘りながら小さな発見もありました。私の家はもともと中古住宅で購入し、20年近く住んだあと建て替えて新築したものです。掘り返していると土のなかから、その20年間の家族の思い出が出土するのです。鉛筆、キンケシ、ビー玉、BB弾、フィギュアなどなど。いまはもうその多くを廃棄してしまいましたが、ビー玉だけは水鉢のなかでいまも家族の記憶を止めています。

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PUTON 2008/08/05

暗渠のスペースは庭の1/3と書きましたが、隣接する西側に臨時の駐車スペースを設けたいと思いました。このため、実際に地面を掘り下げる部分は庭の1/3より広く、10坪近くになりました。ちなみに、自作の対象となった庭の広さは約23坪です。

いまとなっては10坪を掘り下げるといっても実感がわきませんが、岩盤を控えた粘土層の地面を鍬一本で掘り、その土砂を植栽側に移動して積み上げていく作業はほんとうにたいへんでした。

延々とつづくこの作業を見ていたのは、南側隣地で桃を育てているお婆さんでした。桃作りの手を休めて交わすのは、決まってこんな会話でした。

「あんた、ほんと、穴ばっかり、よ〜、掘るねぇ」
「え、穴じゃないけど・・・・」
「穴じゃろ、掘ってるの。いったい、何ができるんよ?」
「庭を作ろうと思って・・・」
「え、庭、にわっていった? うそじゃろ。穴ばっか掘っとるがぁ」

といって、呆れ顔で笑われたこと、数知れず(笑)。下の写真は、その当時の記録です。

すでに駐車スペースの延長部にコンクリートが張られています。写真の中央下には、溝に小石を詰め込んだ暗渠が見えます。粘土層のいちばん低いところに溝を掘り、小石を詰めて水を溜めやすくしただけの超カンタン暗渠です。ここにたまった水を既設の塩ビの配水管に導くだけという、実にシンプルな暗渠です。右側は、恥ずかしながらのオマケ(^^;)。

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PUTON 2008/08/05

暗渠は地面の中の機構です。ですから、意匠デザインの意味で暗渠をデザインするのはちょっと変ですね。しかし、私の場合は、暗渠を設けたことが庭のデザインに大きく影響しました。

当初のプラン図では、水の溜まる部分は石やタイルのテラスをイメージしていました(既出図)。でも、よく考えると、このような作りのテラスがとくに排水に向いているとは思えませんでした。そこで、テラスはやめて、暗渠の表面にバラスを敷き詰めることにしました。バラスの上に降った雨は石の隙間を流れ抜けて、一気に粘土層に流れ込みます。しかし、広い面積にバラスを敷き詰めたのでは、歩きにくいうえに、見た目もよくありません。

そこで、バラスを多用しても問題がなさそうな方法として、バラスで格子を構成することしました。これはおそらく、「スタイリッシュな庭」を自問したころ白黒の邦画に凝っていたせいです。映画に写る伝統的な日本建築や侍の立ち居振る舞いに見られる、直線的でシンプルな意匠の影響を受けたに違いありません。それに、伝統的な格子模様なら、おおきな間違いもないだろうという思いもありました。

地面にバラスで格子を組むとなると、バラスを保持する何らかの枠が必要になります。枕木、石、レンガなども考えましたが、これらの部材だとどうしても格子がスッキリ整然と組めないような気がしました。格子がぐにゃぐにゃでは格好がつきません。そこで、コンクリートで列柱を作りその間にバラスを入れれば、歩きやすく排水もよい、しかも整然とした格子ができるだろうと考えたのです。

この、暗渠とコンクリート格子のアイデアが、このあとたいへんな難工事になろうとは、この時点ではまったく想像していませんでした。

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PUTON 2008/08/04

私の家は硬い岩盤の上にあります。何しろ、パワーショベルで土地を掘ろうにも車体が持ち上がり、キャタピラーが空回りするほどなのです。工事に当たった方が「こんな土地、掘れるか!!」と、ウィリー状に持ち上がった運転席で叫んでいたのをいまだに覚えています(笑)。

こうなると、溜まった水を地下に浸透させて抜くことは不可能なので、本来なら庭の雨水専用の排水マスを設けなくてはなりません。しかし、手作りの庭には手に余りそうです。そこで、水溜まりの原因である地中の粘土層を水受けパレットに見立てて、そこから建物付属の排水マスに雨水を導けないか、調べてみることにしました。

簡単な試掘をしてみると、粘土層と雨水の配水管の高さがほぼ同じで、粘土層で受けた水をどうにか雨水マスに導くことができそうでした。この種の排水設備は一般に暗渠(あんきょ)と呼ばれます。暗渠とは、地中に埋没した小規模な水路のことです。庭の場合は、粘土層に掘った溝に小石を敷き詰めたようなものでも機能はすると思います。

問題は、地面を粘土層まで掘り下げることでした。私の庭では、掘り下げる深さは20〜30センチほどでしたが、これを庭全体で工事するのはたいへんな重労働です。何しろ、鍬一本での手掘りですから。そこで、いちばん水の溜まりやすい庭の1/3程度を暗渠に導くこととし、残りの半分を植栽用途に地面をかさ上げし、ウッドデッキの下はもとの庭の地面をそのまま残すことにしました。これだと、暗渠のために掘り下げた土を菜園側に盛ればいいので、作業も比較的楽です。

上段左の絵は、その概念図です。

上段右の写真は、施工後2年ほどして撮影した、暗渠と雨水の排水管の接続部です。もとからあった排水管の途中にコンクリートで排水マスを追加し、その中に暗渠からの水を落とし込むと同時に、配水管の切り込みまでマスの水位が上がったら、配水管に水が流れ込むようになっています。

もともと配水管には屋根から落ちてきた雨水などが流れていますから、庭の暗渠からの水がここで合流します。豪雨のときなどに配水管の容量を超えないか心配しましたが、3年間の実績ではいまのところ問題は起こっていません。

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PUTON 2008/07/31

庭を手作りしようとして、いちばんの原動力になるものは何でしょう? それはなんといっても完成後のイメージです。作り上げたものによってどんな楽しみが得られるか、そのイメージが強く明確であればあるほど、苦難は耐えられるというもの。まさに、幻想あっての現実というわけです。

しかし、その幻想として私が思い描いたのは、楽しいパーティーではなく、豊かに実った菜園でもありませんでした。そうした個々の楽しみを思わなくもありませんでしたが、なぜか、スタイリッシュな庭、カッコイイ庭を作りたいという思いが強くありました。何と抽象的な幻想でしょう(笑)。

当時、「スタイリッシュな庭」というテーマで本やインターネットを調べてみてもほとんど情報はなく、専門家に聞いてみたものの、これといった答えはもらえませんでした。即物的な楽しみではなく、なぜこんな抽象的な思いにかられたか、これはいまだになぞです。

ともかく、そんな動機に支えられて庭作りがスタートしたのですが、すぐに切実な問題に直面しました。

「ねえ、あなた。スタイリッシュとかもいいけれど、庭にできる水溜まり、何とかならないかしら?」
「スタイリッシュな水溜まり、ってどう?」
「・・・だ〜め!」

こうして、幻想は萎え、現実の問題が姿を現したのでした。

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