私の家は硬い岩盤の上にあります。何しろ、パワーショベルで土地を掘ろうにも車体が持ち上がり、キャタピラーが空回りするほどなのです。工事に当たった方が「こんな土地、掘れるか!!」と、ウィリー状に持ち上がった運転席で叫んでいたのをいまだに覚えています(笑)。
こうなると、溜まった水を地下に浸透させて抜くことは不可能なので、本来なら庭の雨水専用の排水マスを設けなくてはなりません。しかし、手作りの庭には手に余りそうです。そこで、水溜まりの原因である地中の粘土層を水受けパレットに見立てて、そこから建物付属の排水マスに雨水を導けないか、調べてみることにしました。
簡単な試掘をしてみると、粘土層と雨水の配水管の高さがほぼ同じで、粘土層で受けた水をどうにか雨水マスに導くことができそうでした。この種の排水設備は一般に暗渠(あんきょ)と呼ばれます。暗渠とは、地中に埋没した小規模な水路のことです。庭の場合は、粘土層に掘った溝に小石を敷き詰めたようなものでも機能はすると思います。
問題は、地面を粘土層まで掘り下げることでした。私の庭では、掘り下げる深さは20〜30センチほどでしたが、これを庭全体で工事するのはたいへんな重労働です。何しろ、鍬一本での手掘りですから。そこで、いちばん水の溜まりやすい庭の1/3程度を暗渠に導くこととし、残りの半分を植栽用途に地面をかさ上げし、ウッドデッキの下はもとの庭の地面をそのまま残すことにしました。これだと、暗渠のために掘り下げた土を菜園側に盛ればいいので、作業も比較的楽です。
上段左の絵は、その概念図です。
上段右の写真は、施工後2年ほどして撮影した、暗渠と雨水の排水管の接続部です。もとからあった排水管の途中にコンクリートで排水マスを追加し、その中に暗渠からの水を落とし込むと同時に、配水管の切り込みまでマスの水位が上がったら、配水管に水が流れ込むようになっています。
もともと配水管には屋根から落ちてきた雨水などが流れていますから、庭の暗渠からの水がここで合流します。豪雨のときなどに配水管の容量を超えないか心配しましたが、3年間の実績ではいまのところ問題は起こっていません。