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PUTON 2009/06/28

今回は関連する二冊をまとめてご紹介します。はからずも、カバーの表紙もどこか似ていますね。

●「いのちをはぐくむ農と食」小泉武夫、岩波ジュニア新書

小泉武夫さんといえば、「味覚人飛行物体」「発酵仮面」と呼ばれるほど、日本全国津々浦々の食べものを胃袋に納めてきた、感嘆すべき食の探求者です。この本はその著者が、崖っぷちに立つ日本の食料事情にいても立ってもいられず、若い人に農業と食の大切さを少しでもわかってほしいとの思いで、小学生から高校生向けに書き下ろした一冊です。

毎年全国で医者(歯科医師を含む)になる人(約6,300人)よりも、農業に従事する人(5,000人未満)が少ない現状を嘆き、食料を外国に委ねる危険性を指摘し、それならばいかにすれば農業を活性化できるかと取り組みをはじめ、地産地消と食育に問題解決の原点を求める本書は、問題の指摘と分析に止まらず、実体験と具体的な活動を盛り込んだ実学の書といえそうです。しかも、その語り口は平易です。

人にとって食べることは死ぬまで「実」の行いです。なのに、食べ物はいつのまにか実を離れ、経済、金融、外交といった、ともすれば虚に染まりがちな事情のなかで歪められてきました。この歪みをただすには、ひとりひとりが食料生産の実際を知り、毎日の食事を見直す必要があるとする著者の意見に、私も同感です。

●「医者いらずの 食べ物事典」石原結實、PHP文庫

事典とあるとおり、野菜だけでなく魚介もふくめて全部で114の食材について、病気にたいする効能の観点でまとめあげた、帯に曰く「家庭に一冊の保存版」です。このような本では悪役になりがちな牛肉、豚肉、鶏肉についてはどうでしょうか。

「肉類は、家康や明治の人のごとく、「薬食い」的に時々食べるのが人間の体には適していて、時々食べれば薬のように体に効くといえそうです。」

と、悪役扱いではなく、用い方次第で薬になると説いています。冒頭の「日本人の食品摂取量の推移」(写真右)見ると、この50年間で日本人の食生活がいかに激変してきたかが一目瞭然です。少なくても食に関して、すでに日本人はいない、といっても過言ではない状況です。米の摂取量は半減し、肉類と乳製品が約9〜19倍の摂取量になったということは、上の引用を悪用すれば、現代人の食環境はすでに「薬浸け」状態!? 

今夜の夕飯はと妻に尋ねると、「庭のダイコンと冷凍サンマ」とのご託宣。さっそく事典をひもとくと、ダイコンには魚肉の解毒や、解毒の人体への作用か二日酔い防止に効くとあります。サンマは夏バテ解消。「じゃあ、ビールだね!」では効能も相殺かな(笑)。

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