都心から1時間の場所で、等身大の都会&田舎ぐらしをするようになって4年という、もと造園会社勤務の女性の手による、すばらしい本です。
野菜の栽培や庭作り、あるいは手作り野菜を使った料理の本など、このところ園芸関係を中心に庭関連の本が数多く出版されています。しかし、この本ほどそれらの要素をまんべんなく網羅し、広い視点で暮らしそのものを描いた本は、そうそうないのではないでしょうか。
それだけではありません。著者の視点は近隣・地域にまでおよび、房総の農家の方々への敬意までもが込められています。すごいですねえ、ほんとうに。章立てはつぎのようになっています。
Chapter.1 トカイナカ暮らしの日常茶飯
Chapter.2 畑庭の四季
Chapter.3 収穫したもので簡単Cooking
Chapter.4 房総の農家に学ぶ
Chapter.5 畑庭日々徒然日記
トカイナカという題名やかわいいイラストから、表紙を見ただけでは見過ごしそうですが、読んでみてかなり科学的というか論理的な本だなと思いました。例えば第二章など、設計、イメージ、購入、行動と、きちんと段階を踏んで記述されていて合理的です。種袋の裏にある播種カレンダーを見ながらあれこれと袋を並び替えたり、「植物って地上部分がどうしても気になるが、やはり地面の下がその骨格なんだ」と綴る著者の頭の中は、きっと科学脳なのに違いありません(^^)。
庭や野菜を相手にするとき、私などとかく感覚的で適当になりがちですが、自然や生き物にも合理的な摂理があること、その法則を見つけて生かすことが、ほんとうのコツなのだと改めて思いました。
ところでこの本、家に届いてしばらくしてハプニングがありました。
「あら、これって、トナカイじゃなかったのね! なんでトナカイの本に麦わら帽子が書いているのかと、ず〜っと思ってた。」
ですって(^^;)/。面白かったので友人に話したら「いや、ぼくも最初、トナカイかと思った」と返され、また二人で大笑いしました(笑)。