渋谷のギャルが農業の世界へまっしぐら。思ったが最後、田んぼめがけて一直線。その思いの真っ直ぐさと純情さは、読んでいてほれぼれするほど。その印象が強いせいか、農業本というより自己啓発本のような読後感を覚えました。
このチャレンジ精神あふれるノギャルの行動にたいし、実際に農業に従事されている方を中心に、ギャルに農業などできるか、という多くの批判が寄せられているようです。本気で農業をするならツメを切れ、ケバい化粧とファッションは止めてくれ、月に二日田んぼに来て農業などと言わないでほしい、などなど。
しかし、本書にも繰り返し書かれているように、著者の目的は農家の一員になることではなく、「若者に食や農業に興味を持つキッカケ」を作ることです。人と社会のつながりや仕組みの、うまく機能していないところを掘り起こし、問題を解消しようとする取り組みです。ですから、農業やるなら首まで浸かれというのは当たらないんじゃないかなあ・・・。
著者が一途になって取り組んでいるこの活動は、ビジネスの仕掛人の仕事と重なるところが多いように思います。その意味では、彼女が最初に取り組んだ「ギャルマーケッティング」の発展系といえそうです。共通しているのは、この人が徹底した体験派だというところ。「ギャル革命」のときはギャル社長、「ギャル農業」ではノギャル。そのどちらもが我が身を課題の対象のなかに位置づけての活動です。
自給率の低さや耕作放棄地の問題、農業従事者の高齢化や跡継ぎの減少を話題にするマーケッターは多くいますが、体験から仕組みを考えるという取り組みは少ないと思います。取り組みが稚拙といわれても、本業ではない負い目はあろうとも、24歳の体験派マーケッターに声援を送らないわけにはいきません。
ガンバレ「ノギャル」!